4.「糖尿病で初診したときはどのような検査をするのですか・・・その②」
身体計測、とくに体重測定の重要性はいうまでもありません。初診以後、受診のたびに必ず院内で体重を測定していただきます。自己申告体重はときに実際の体重からかけ離れていることがあるので採用しません。糖尿病状態では2kg程度の体重変動が血糖コントロール状態を一段階、良くも悪くもすることを覚えておいてください。腹囲測定も必須です。著しいメタボの方は自費になりますが、INBODY機器による精密体組成検査をお勧めしています。血圧は院内では高く出ることもあるので、高血圧の可能性がある方は家庭血圧の測定が必要となります。記録に便利な家庭血圧手帳があるのでお渡しします。歯の状態の確認(歯周病やむし歯)も重要です。眼底検査(糖尿病の深刻な合併症として網膜症があります)はかかりつけ眼科を受診するか、あらたに眼科を探してもらい、連携手帳を活用して眼科の先生に眼の状態を報告してもらいます。
血液検査ではいくつかの項目が必須となります。脂肪肝やアルコール性肝障害の程度を知るための肝機能検査、中性脂肪・善玉コレステロール・悪玉コレステロールを測定する脂質検査、痛風のための尿酸検査を行います。糖尿病の合併症として、また、血管の動脈硬化症の表れとして腎臓病があります。腎臓が血液をろ過して浄化する力を知るためのeGFR(血清クレアチニン、性別、年齢から計算で求められる推算糸球体ろ過率の略です)測定や、血液ろ過装置(腎臓糸球体と呼ばれます)自体の異常を反映する尿アルブミン測定も重要です。
以上すべての項目を一時にやる必要はありませんが、状態をみながら必要に応じて検査をしていきます。血糖コントロールは一義的に重要ですが、そのほかの上記の項目に目を配り、同時並行で改善してゆくことこそ、糖尿病治療そのものであると言えます。